若い頃 向こう三軒両隣 

K子ちゃんと C子さんと の三人は

いつも けらけら 笑って 過ごしていました

 

 

週一度 仕事が終わってからの お茶のお稽古も 一緒に出かけ

いつも お稽古はそこそこにして

帰りの喫茶店で コーヒーや軽食をとりながら

とりとめのない話をしては

ワハワハ 笑いあっていたのです

 

C子さんのことを「おばちゃん」

私のことを「姉ちゃん」と呼んでいた

一番若い K子ちゃんが 昨年病気で 逝ってしましました

 

 

先日 K子ちゃんの命日に C子さんとお参りに行ってきました

ご仏前に手を合わせて間もなく

ご主人が 「これからお客さんが来るので ちょっとだけ

台所で待ってもらえませんか」と 言われるのです

「お参りが出来たので これで 失礼しますので」と

帰ろうとするのですが 「すぐ終わりますから」と

どうしてもと 引き止められ 奥の台所に案内されました

 

 

一時間ほど経ったでしょうか

出して頂いた お菓子も半分こしながら

K子ちゃんと過ごした 懐かしい思い出の数々を

笑いながら話して待っていました

 

ようやく 戻ってこられた

優しく 口数の少ない ご主人は

若い頃のK子ちゃんの話を やさしく微笑みながら

聞いていました

 

自分の知らない K子ちゃんの話を 聞きたかったのかも・・・

ひとりになられて K子ちゃんを知っている人と 話したかったのかもしれません

畑で採れた 菜の花をいっぱい頂いて 帰ってきました

 

 

ちょっとのはずが

随分 長い時間 お邪魔していたことになります

 

帰路の車中で 「気づいたら お昼ご飯食べてなかったね~

どこかで食べて帰ろうか」と 二人

「この辺は 私よく来るから わかるわよ」というC子さんの誘導どおり

運転していると

「そこ左」というので 左折すると

「ちがう ちがう 左 左 」と 右に手を振りながら

「えええ~~ 左って言ったよね」と私 わけがわかりません

「ううん 左の車線に移るという意味よ」と 

そういえば C子さんの案内は滅茶苦茶だったのを 

その時 ようやく思い出していました

 

その後も 漁船のとまる海沿いを走ったり

山中に入り込んだり

レストランなど どこにもありません

山を下りて

やっと 見かけたスーパーのお惣菜売り場で

なんとか お弁当を買い求めて・・

 

やれやれ やっと 見慣れた道路に出た頃に

C子さんが 

「見て S子ちゃん 田んぼに カラスがいっぱい止まっているわよ」というので

運転しながら チラッと外に目を向けると

広々とした 田んぼのあちこちで 黒い小さなビニール袋が 風にたなびいていました

 

 

運転しながら 可笑しくて 笑いが止まりません

そして 車の後部座席で K子ちゃんも一緒に

アハハハ 楽しそうに笑っている気がしました

 

 

佳秀窯HP ↓

 https://www.nishiyama-tadashi.com