数日 黄色い砂嵐に見舞われて

薄っすら霞がかかったようなお天気が

続いていたのですが

昨日 今日と 降りつづいた雨のお陰で

砂はきれいに流されて

木々も葉も いきいきと 輝いて見えます

 

 

ひとつ ひとつ 慎重に積み重ねた窯も

最後に 大きな壺を 天井高く 並べて

やっと やっと 本窯が入りました

 

 

昨日の夜半 2時に火が入り 

昨日一日をかけて 窯焚きでした

 

 

そんな 窯焚きの日に

我が家には お客様

 

関東に住む 従姉のM子姉ちゃんです 

息子とその娘Nちゃんを連れてやってきました

私とはNちゃんとは 初対面でした

 

先祖のお墓参りを兼ねて 孫のNちゃんに 

自分の生まれ育った郷里を見せたかったのだと言っていました

そして 親しい親類たちにも 対面させたかったようです

 

M子姉ちゃんは 関東の片隅で

長年 夫と共に料理店を切り盛りしてきたのですが

昨年末に 夫を見送ったばかりです

 

美味しい料理の腕を振るう おだやかな性格の ご主人でした

M子姉ちゃんは その傍らで いつも快活に おしゃべりをして 

お客様を楽しませ

誰からも「お母さん」と呼ばれ 慕われていたのです

そのお店も先頃 閉じたと聞いていて

どうしているのかな~と 案じていたのですが

 

「寂しくなったけど お父さんとは いっぱい いっぱい

おしゃべりしてきたし 一緒に過ごした思い出が山ほどあるから 私は大丈夫

それに 今でも外を歩いていると おかあさ~んと 皆が声かけてくれるのよ 」と 元気そうです

 

M子姉ちゃんは

学校を出てすぐに 私の実家の酒屋を手伝ってくれたのです

昔の砂利道を ゴリゴリ自転車を走らせて配達したという話は

初めて聞いた話でした

 

まだ幼かった兄二人と私の世話ばかりではなくて

お店の手伝いも随分してくれていました

随分私たち兄妹はお世話になっているのです

 

その頃の話を 面白おかしく 話して聞かせてくれて

懐かしくて 大笑いしている母親の姿を見ていた息子が

「お母さんは ここが一番落ち着ける場所だね 」と 笑って言います

姉妹のように見えるのでしょう

笑いも 波長が合い 楽しくてなりません

笑いも おしゃべりも 

なんとも ご先祖様からのつよい血縁を感じます

 

おばあちゃんのおしゃべりに付き合って 孫のNちゃん

穏やかな笑みを浮かべながら 静かに 頷きながら聞いてくれています

 

Nちゃんは 事情があって まだ乳飲み子の頃に

母親と一緒に 南の島に引っ越していきました

 

色々と大変な時期もあったでしょうけど 

こんなに やさしくて 良い子に育ってくれています

 

影に 日向に この子の周りで 

愛情がいっぱい注がれてきたのでしょう

Nちゃんの表情は まぎれもなくそれを物語っています

 

 

今 こうして M子姉ちゃんが わざわざ 故郷に連れてきて

私達親類に顔を見せてくれたのは

「よろしく頼むね」の 気持ちなのだろうと思いました

 

最近では だんだんと 血縁関係も希薄になり 

寂しく感じることが多いのだけれど

大切なご縁なのだから やはり大事にしていきたいと思うのでした

 

Nちゃんは 「病気で苦しんでいる患者さんと お医者様や社会との関係を

うまく繋げていく仕事をしたい」と 専門学校に通って勉強しているそうです

 

お話をじっと聞いている姿が とても 印象的で

きっと 幸せの橋渡しをしてくれるに違いありません

 

背中をそっと撫でながら 「また遊び来てね」というと

Nちゃんは にっこり頷いてくれました

 

M子姉ちゃんも ずっと元気でいてね

また きっと 会おうね !! 

ふふふ・・・

工房の後ろでは 夫が 窯の焼成温度とにらめっこの

忙しい 緊張の窯焚きでした

 

きっと 笑顔の作品たちが

いっぱい

生まれてきてくれるような予感がしています

 

 

 

佳秀窯HP ↓

 https://www.nishiyama-tadashi.com