我が家は 国道沿いに位置していて 

何かと生活には便利なのだけれど

色々と 弊害もあります

車の量が多いだけに 車中からのゴミの投げ捨てや

近くにある 地区のゴミ収集の金網の中に ポイポイ

ゴミを投げ入れていく人も後を絶たないのです

 

そのたびに 町の指定の袋に移し替えなければならなくて

以前 あまり それが続いたので 町に相談したところ

「金網に鎖を付けてみましょう」と 黄色い鎖を付けてもらったのです

 その効果もあって ポイ捨ては激減して 

利用している地区のみなさんも ひと安心したのでした

 

ところが 先日 その黄色の鎖がなくなっていたのです

随分年数がたっていたので もしかしたら 外れてしまったのかも・・と

お店に行って 今度は 赤い鎖を買ってきて 取り付けておいたのですが

その午後には 再び外されてしまっていました

どうしたのだろう おかしいな~

気になったので 我が家の外向きの防犯カメラをのぞいてみたところ

なんと 二日続けて ランドセルを背負った数人の男の子の姿が写っています

 

二日目には その新しく取り付けた赤い鎖を 

目の前でクルクルまわして 「やった~」と 肩高く持ち上げて

嬉しそうに叫んでいるのです

 

あ~あ いたずらっ子の仕業か~ これは いくら新しい鎖を何度付けなおしても

毎日続くだろうな~と 思いました

ゴミ箱の前で見張ることも出来ないし 学校に相談して 注意してもらうことにしました

 

地域のひとが困ることを伝えてもらい

捨てた鎖を元に戻して付けてもらうように頼んだところ

先生は快く対応していただき 「謝りにいかせます」と言われたけど

「いいえ 公共のもので 私個人のものではないし 対処して頂いたら

我が家に 謝りに来られることは必要ないです」と言っておいた

 

けれど その夕方 チャイムが鳴って 出てみると

二組の男の子の親子が 玄関先に立っていたのです

仕事を終えたばかりのお母さんたちが 駆けつけてみえたようです

 

わあ~ わたしの望んでいない 嫌いな最悪のシナリオになってきた

こんなとき どう対処するのだろう

やっぱり 学校に言うのは止めとけばよかった・・・

簡単に済ませようとした自分の浅はかな行動を すでに後悔し始めていたのですが

後の祭りです

 

降り始めた雨の中を立っていらしたので 先ずは入ってもらったものの

何から話したらいいのだろう 気まずい

ふたりの男の子たちは 小学3~4年生くらいだろうか

キョトンとした様子で お母さんの前に立っている

 

入っていらした ひとりのお母さんが 「みつかりました。ありました。」と

明るく 元気な声で ビニール袋を差し出されます

何だろう・・・と 受け取ると 黄色と赤色のふたつの鎖が入っていたのです

 

アッ そっち・・・なのか・・

受け取って 「ありがとうございます」と私

なんだか お母さんたちも私も 緊張してか 言葉がうまく継げないでいる

子供たちは ポカンとしてその様子を見ている感じで・・

 

 

気を落ち着けて ゆっくりと

鎖が無くなることで近所の人たちが困ることを伝えた

相変わらず キョトンとして 時々 視線を泳がせている様子だった子供たちが

どのくらい理解してくれるかなと思いつつ

「もう しないでね」と 男の子二人に 近づいて声を掛けたら

「うん」と 小さく頷いてくれる

 

その時 急に 年甲斐もなく 私の好奇心がわいてきて ちょっと 男の子たちに聞いてみたくなった

私は 先日 新しく鎖を取り付けるのが難しく 結構面倒で時間がかかったので

こんな面倒さの割には チャチな鎖の何がよくてとったのだろう?

鎖を外すことが 面白かったのか?

ゲーム感覚なのだろうか?

ちょっと 聞いてみたかった

「ねぇ なんで鎖をとってみたかったの?」

 

それがいけなかった

子供を追求したように勘違いされたようで 

 後ろに立つお母さんが 「いたずらをしてみたかったのだと思います」と

すかさず 応えられた

シマッタ! 馬鹿な好奇心から聞いたまでで そんなつもりではなかったのだけど

一事が万事 ちぐはぐでかみ合わない場だった

 

兎に角 私も 速くその場を終わらせたくて

「それでは」と お互いに挨拶をして お帰りになられようとしたその時に

ひとりの男の子が 棚に並んだ 我が家の作品を見回しながら

「お母さん 僕もう少し 焼き物をみたい」と はっきり言うのだった

その次の瞬間 すかさず

その男の子の頭に バシッと お母さんの掌が下りて

男の子の手を引っ張って 玄関を出ていかれたのです

 

ブッ! 可笑しくて思わず吹き出しそうになった

ふふふ この一撃で終了!!

こっちが さっぱりして 分かりやすい気がした

少し わたしの緊張も解けてきた

「見たいときに いつでも遊びに来ていいよ」と 言う余裕もなかったけど

 

その後 降り始めた雨の中

戻してもらった 赤い鎖を 再び金網に取り付けていたら

「すみません」と 言う声がして 振り向いたら

先程のお母さんが 立っていらっしゃいました

 

緊張がほぐれ 外だったこともあって

「お子さんは何人ですか?」と お尋ねしたら

数人いらっしゃるとのこと

 

「大変ですね、

私は 子供も育てましたけど 今頃色々考えさせられたり

反省することばかりで 情けない母親なんですよ」と

正直な気持ちを伝えた

 

最近になって 「あの頃ね・・・」と

子供の頃 悩んでいたことや 苦しく感じていたことを 

聞かされることがある

 

「その時言ってほしかった」「なぜ言わなかったの?」

きっと そのころの私は

余裕もなく きりきりと とがっていた母親だったに違いない

何かをしながら 背中で聞き 急かせていたような気がする

ちゃんと向き合っていなかった気がする

今更 反省しても取り返しのつかない事だけど・・

 

そのお母さんに

「今なら 色々と修正が効きますものね」と 言う私に

「はい」と にっこり笑って 穏やかに微笑んでいらっしゃいます

 

きっと このお母さんなら 余裕をもって

お子さんをちゃんと見つめていかれるのだろうな~と

思ったのでした

 

昨年 お花が終わって 無造作に重ねていた鉢の その隙間から

知らぬ間に 芽を出し 花を咲かせていました

生命の強さを感じました

 

何が正しいのか 答えのない子育て

けれど 幸せを祈り続ける日々は 終わりがないのです

 

佳秀窯HP ↓

 https://www.nishiyama-tadashi.com