工房の窓から見える 庭の紫陽花が
雨に濡れて きらきらと 輝いています
雨はうっとうしいけれど
緑の葉や お花が
いきいきと 色鮮やかになります
昨日から 今朝にかけて 雷鳴がとどろき
雨も結構激しく降りつづいていましたが
今日は 雲の間に 青空が顔を出しています
雷が鳴ると いつも 祖母のことを思い出します
祖母は 92歳で亡くなるまで 私の実家で家族と同居していました
手先が器用で レース編みや 毛糸編みを楽しみ
相撲が大好きで 編み物をしながら
ラジオでよく相撲の取り組みを 聴いていたものです
相撲の本も取り寄せ 力士の一人一人の出身地まで調べて
記憶していたのを覚えています
私の実家は 田舎で 小さな酒屋を営んでいて
ちょくちょく お客様や 取引先の方が
「子供さんにどうぞ」と 手土産を持って
お見えになっていました
いただいたら すぐに 仏壇に供えるのは 私の役目です
包装紙 箱の大きさ シールに貼られたお菓子の名前
時々は 箱を揺らしたりして 何が入っているのだろう と
ウキウキして 仏壇に供えていました
ところが 私たちの口に入る前に いつの間にか お菓子が減っています
そのころ 夕方になると 祖母は毎日 仏壇の前に座り
お経を唱えていましたが
数珠を持つ 反対の手で お菓子の箱を物色し
お経が終わった頃は いくつかの箱をもって
「よっこいしょ」と 立ち上がって 自分の部屋に引き上げていくのです
時々 祖母の部屋に遊びに行くと
こっち こっち と わたしを手招きして
観音開きの箪笥を開けて なかにいっぱい詰まった箱の中から
お菓子を取り出しては 私にお菓子を少し分けてくれたりしました
兎に角 祖母は 自分の言いたいことを言って
気に入らないと 関東や関西に住む 自分の娘や息子のところに
遊びに行って 何カ月も帰ってこない
何とも 怖いものなしの わがままな 婆さまでした
そのころ 父とも折り合いが悪く 口もあまり聞いていませんでした
そんなある日 雨も 雷鳴も 激しい 嵐の夜に
父が 「お風呂を見てきなさい ばあちゃんが入っている」と
私に言います
お風呂場は蓋が閉まって 誰もいません
「ばあちゃん いなかったよ」と 父に報告すると
「いや よく見てきなさい」と 再び 私に
お風呂に行って 一応 念のため 「お婆ちゃん」と言うと
「ここ ここ ばあちゃんここにいる」と
お風呂の蓋を 少しだけあげて 祖母の顔が見えています
いつもわがまま放題 言いたい放題で 母を困らせている祖母が
怖がって ふるえているのです
ばあちゃんにも 怖いものがあるんだ~
可笑しくて 笑いだしてしまいました
いまだに その時のことが忘れられなくて 雷が鳴るたびに
祖母の事を 思い出すのです
その祖母も 92歳の長寿を全うし 自宅で家族に看取られながら
逝きました
最後の言葉は 「宿代も払わんでの~ ありがとう」でした
6人の子供をもつ祖母が
次男の父のところで 最後までお世話になったことに 御礼を言ったのでした
雷の話から なんだか 話は 飛んでしまいました
祖母は わがままで 困ったばあ様でしたが
何故か 末っ子の私には やさしく
忙しい両親に代わって 散歩に連れて行ってくれたり
側にいてくれたりして やさしい祖母でした
それを言っておかないと 夢に出てきて叱られそうです
ふふふ・・・
さて 雷から お話は スッとんでおりましたが
工房では いよいよ 個展が近づき
ろくろの音が くるくる 響いています
削り作業が続き
きれいに 拭きあげられたりして
新しい作品たちが どんどん 生れ出ています
佳秀窯HP ↓