個展も半ばになったある日
会場の前で ガラス越しに ジッと
作品を見ていらっしゃる若い女性がいらして
入りにくいんじゃないかな~と思い
「よろしかったら 中に入って ご覧になりませんか?」と
声を掛けたのです
その女性は 遠慮しがちに中に入ってこられて
私の前に スッと 立たれました
「私の事 覚えていらっしゃいますか?」
クルッとして愛らしく やさしい目元の女性です
マスク越しという事もあり
懸命に記憶をたどるものの 目の前の若い女性が思い出せません
「前にT病院にいたものです」と
「あ~~あ あの時の・・・・」 一気に記憶がよみがえります
7年ほど前 階段から落ちて 救急車で運ばれ そのまま数か月入院したのでした
義父母を そして実母を見送り 実父が亡くなってまだ45日経っていない頃
本窯を焚いている真夜中に 私は階段から意識を失って落ちたのでした
ベッドから立ち上がれず 据え付けられた机の上のお茶さえ手に取ることができませんでした
動きが取れず 用事があるたびに ナースコールをお願いし大変お世話になったのです
間もなく リハビリが始まり 理学療法士になられたばかりのNさんが私の担当になられました
当初 車いすに移ることさえも痛みが辛くて出来なくて
「もう動きません 無理です」とわがままを言う私に
「さあ 一緒に行きましょう 少しでもいいから動かないとよくなりませんよ」と
熱心に私に寄り添っていただき 毎日 午前 午後と つきっきりで介護していただき
リハビリ後 痛みに苦しむ私の腰や足を 氷で冷やしてくださったのです
後に 動けるようになり 階段の昇り降りも練習させてもらい
熱心な指導のお陰で 1か月半ほどで退院にこぎつけたのです
そんな恩義のあるNさんなのに すぐに気づかないなんて・・・
今 同系列の病院で S県にいらして
1時間半かけて 会場に来ていただいたようです
わたしのこのブログを読んで頂いていて 個展のことを知られたようでした
退院してもう7年ほどが経とうとしているのに
ずっと 陰で心配してくださっていたのですね
Nさん 本当にありがとうございました
Nさんのお陰で 元気に暮らしています
会場を後にして 去られるNさんの後姿を見送りながら
胸が熱くなりました
また 痛みで苦しむ人のそばで 寄り添っていかれるのだろうな~
「頑張ってね Nさん」
私も あなたに助けてもらった身体を 大切に これからも頑張って生きます
佳秀窯HP ↓
https://www.nishiyama-tadashi.com