東北から嫁いできた友人が
「北国に比べ 九州の山は 変化がなくて さみしい」 と
言っていたのを 思い出します
それでも 窓から見える いつもの お山の
ところどころで ほんのり 色づき始めたような気がします
そんな秋の昼下がり 先日 「高台杯」をご注文いただいた
T様が お手紙を携えて 我が家にお見えになりました
今回の 「白磁高台杯」は 「これまでの長い人生で
様々なお世話になった方々に 御礼と感謝の意をこめて
喜寿の記念として 贈呈したいのです」という ご注文でした
「高台杯」を 贈呈された ご友人のお一人から
「御礼の手紙が届きまして・・・」と 私達に そのお手紙を
わざわざ お持ち頂いたのでした
その中には・・
「何物にもとらわれない自然な形の美しさ
その色はなんとも白く澄み、うつくしいとしか表現のしようがない
その肌は、まさに人の肌のように呼吸して、しっくりとし、くちびるにあてても、
頬に触れても、吸いつくようななめらかさが・・・」 と
「テーブルに置いたとき、まるで掘り起こされたばかりの宝石が
そこにあるかのごとく 、際立ってその見の存在を主張する。
まったく凄い杯だ!」
「ずっと私のそばにいて、私の生をも清めてくれる高台杯、大切に 大切に
愛でさせて頂きます。」と 贈り物をされた T様への感謝の言葉と
ありがたい 「高台杯」への あたたかな賛辞の言葉が 綴られていました
大切なご友人に 思いをこめた 記念の品を
夫に 託して下さった T様の思いと
心をこめて 作らせて頂いた 作品が
こんなにも 喜んでいただけたことに
夫も 私も 胸が熱くなる思いがしました
作品を通して 思いが伝えられていく
その素晴らしさを しみじみと 感じたのでした
スピード感が求められるこの時代に
まるで逆行するように 時間と労力がいる仕事で
辛い時もありますが
目には見えないけれど
伝わっていく 何かが 確かにあるのだと 思えたのでした
それを 伝えるために
T様は お忙しい中 わざわざ おいで頂き
だまって 手紙を差し出して下さったのです
佳秀窯
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