「ねぇ、この花の名前知ってる?」

お彼岸の帰り道 小さな足元の花をさして

二女にきいてみた

「知ってるよ!ホトケノザ だよ」 すぐに返事が返る

「中に 甘い蜜が入っていて 学校帰り 

お友達と よく蜜を吸ってたけど

お母さんが それは 犬のおしっこが掛っているから 

口に入れたら だめよって いったのよね」

 

 

得意げに 娘に その名前を 

教えるはずの予定がくるって

こちらの 言葉が詰まってしまって

 

もう少し 気のきいた言葉を掛ければよいものを

不用意に 口をついて出た言葉に

小さな子供の胸は つぶれたに違いない

 

 

今頃になって 反省することばかり・・・

 

こんな母に育てられた 娘も

なんとか この春 卒業することに・・・

仕事が立て込んで 他県の卒業式は 迷ったけど

我が家にとっても 最後の卒業式になるし

やはり 娘の卒業を 見届けたかった

 

 

夏のある日 何かのことで口論して

電話では らちがあかず 

夜 娘のもとに車を走らせたことも・・・

 

娘は 唇をかみしめ 涙をポロポロ流しながら

自分の意思を 私に ぶつけてきた

 

自分でしっかり考え 

先に すすもうとしている 

これまで知らなかった 娘が そこにいた

 

 

小さいころ 私の姿が見えないと あんなに 泣き叫んで

私を探していたのに・・・

いつの間にか 私からはなれて 立っていた

 

喜ぶべき事なのに 帰りの車中で

涙があふれ 何度も 何度も 

車を止めたことが 思いだされる

 

 

「卒業式ね わたし総代の補欠になってるみたい!」

はぁ?

「総代の人が 欠席の時の ピンチヒッターよ!」

クフッ! 

 

その役は 残念ながら 見ることはできなかったけど

4年間 よく 自分なりに 頑張ったのだと思う

静かで 厳かな 卒業式だった

 

 

楽しいことも 辛いことも 苦しいことも

いっぱいあるだろうけど

その道に マイナスになること一つもない

おそれずに すすんでいってほしい

明日から 社会人の仲間入りをする 娘を

そっと 見送った