もう どこの梅の花も 終わりになるころ
久しぶりに 両親が住んでいた実家に
立ち寄ってみた
誰もいなくなったその家には
めったに足が向かなくなっている
父が育てていた あの白梅は
今年は咲いたのだろうか・・・
手入れもできない庭は
おそらく草ぼうぼうで 荒れ果てているのだろう・・・
車を止めて おそるおそる 足を踏み入れた
その小さな庭には 遅咲きだったのか
蕾をいっぱいつけた 白梅が
待っていたかのように
見事に咲き誇っていた
古希を迎えたその年に 父は胃を手術し
それを機に 町や地区の役を下り
商売を兄に譲り 畑を耕し
家の前の小さな庭に 凝るようになっていた
梅や 椿や もちの木を植え
山にいっては コケを運んで来て
みるみる それなりの庭になっていった
あまりの熱心さに 陰で
母と笑っていたあの頃
庭に面した 陽のあたる縁側で
大好きだった甘い物をおやつに
お茶をして 笑い合っていた両親の姿が
思いだされる
ついこの間の事のように・・・
それにしても きれいにしている庭に
不思議に思って 見ていると
「お~、さとちゃん!来とったね~」と
向うから
従兄のH兄ちゃんの声がします
父の庭を H兄ちゃんが 何くれと
世話をしてくれていたのでした
知らない所で こうして 助けてもらっていることを
忘れないようにと 両親が
私に伝えたかったのかもしれません