長兄とは9つ 次兄とは6つ 違いで

私が生まれている

 

大正生まれで 海軍上がりの父は

兄二人には 相当厳しい教育だったが

末の私には 甘くて 兄達が「サトばっかり・・」と

陰で 文句を言っていた

常に私のそばには 父がいた

 

 

私が30を越えてから やっと嫁ぐことが決まると

一番喜んでくれたのは 父だった

実は 内緒だけど

私より早く 夫を気に入っていた・・・

 

 

それなのに 結婚式当日 式が無事に終わって

帰りのバスに 私が乗車してこないので

「何故 サトはこっちのバスに乗らないのか?」と 

憮然として 母を困らせたらしい

 

 

しかし 父は 「サトは料理が出来ないから・・・」と

数日おきに母の手料理を運んできてくれた

 

娘達が生まれてからは

「孫の顔を見に来た・・・」と 言っては訪ねてきた

 

夫は 「あれは 明かに あんたの顔見に来てるよ!」と

笑っていた

 

 

陶器市になると 毎日早朝から 我が家に来て

椅子に座って お客様の賑わいを見ていた

 

そんな父を 煩わしく思っていた時もあったりして

父がいなくなった今になって

もう少し 優しくしてやればよかったな・・と

後悔先に立たずで 心で詫びている

 

 

今年 陶器市の準備をしていて 

プライスカードの入った小箱を開けたら

思いがけず

見慣れた父の几帳面な字体の手紙が出てきた

 

日記風に書かれた手紙は 初日のお店の賑わいや

「サトが忙しそうに 働いていて 安心した!」と

日別に その日の様子を書いてある

 

毎日来て 様子を書き綴っていたのだ

手紙をもらっていて 忙しさにかまけて

そのまま小箱に入れて 仕舞ったままになっていたのだろう

 

 

こんな形で 父の手紙をもらうなんて・・・

 

今年も 父は 私の

そばに 来てくれていたのだ

そう思うと 涙が止まらなかった

「どんなときにも 笑顔を忘れずに・・・」と

言っていた父

さあ! 前を向いて 今日も 笑顔で!

・・・だねっ!