いつもは静かな谷あいのこの町が
ここ数日
町長と町議の選挙で
工房にも 遠くで 近くで
名前を連呼する声が 聞こえてきます
私も ずーっと前に 先輩夫妻から
「人が足りないから 手伝って・・」と
有明海に面し 山には みかん畑が広がる
半農半漁の町に 手伝いに行ったことがある
私は ベテランのうぐいす嬢Uさんが
休憩をされるための ピンチヒッターだった
Uさんは 予め渡されたメモは 全く見なかった
「遠い山の上からの
ご声援ありがとうございま~す」
皆一斉に むこうのみかん畑に目をやる・・・
「見えております! 木の上からお手を振っての
応援ありがとうございま~す」
また 皆 顔をいっぱいに傾けて 高い杉の木を見上げる
やはり 私には 見えない
お昼の休憩で おにぎりを頬張りながら Uさんに
「よく 見えますね」と訊ねたら
「きっと 農作業している人はどこかにいますよ・・
白い手袋は 皆さんのお気持ちは受け止めましたよ・・・
きっと その気持ちに応えますよ・・・という意味があるのよ」と
言われるのだ
「ほ~~お!」そうなのか・・・・
そして 午後から U嬢は ますます
滑らかな口調で
「カマを持った手 クワを持った手
短くても 田畑を耕した丈夫な足
皆様の手となり 足となって・・・・」
この辺になると 私の笑いの沸点は
頂点に達していた
先輩は 柔道で鍛えた まさにクマさんみたいな体型であった
私は 後部座席で体をよじらせ
笑い声がマイクに拾われないように
我慢することに必死であった
あんなに 機転の利いた 楽しいうぐいす嬢さんは
あれきり お目にかかったことがない
エッ? 結果ですか?
もちろん トップ当選でした!
ふふふ・・・・