昨年から、お茶の先生のN氏から水差しの注文を頂いていた。
大きさと形、色は白磁か青磁どちらが良いでしょう一通りご希望を聞く。
白磁の花瓶の中を覗き込んで、「この何とも言えない薄っすら青味がかった白がいいですね。」
白磁で焼いても、花瓶や花器の内側は熱で青く深い青白の美しい色が出るので
皆さん中を覗き込んでは「きれいね」とため息をつかれることが多い。
試行錯誤を重ね、お水を入れられてもあまり重たくならないように厚みも考え
やっと、3月に完成し
お待たせしたお詫びとともに連絡を入れる。
お忙しい方なのに、本日遠方よりお出で頂く。
こちらで勝手に好きな形で自由に制作したものと違って、注文を受けて制作したものは
やはり、お客様のご希望にそえるかどうか、使い勝手は良いかどうか
気に入ってもらえるか・・・ドキドキしながらN氏の前に作品を運ぶ。
「おおー、ええ色が出てるなあ! 形もこれはええわー」
少しずつ形と大きさを変えて3種類ほど作っていたので並べて比較してもらう。
近くで、少し離れて見られて、ご自分で抱えて見て手がピッタリ合うもの
「これもええなあ、こっちも捨てがたいなあ・・・」だいぶ迷われたけど
選んで頂く。
掛け軸や、露地の話、お茶室の話をすごく詳しく丁寧にお話ししていただいて
また、時間をかけて帰宅しなければならないと急ぎ電車でお帰りになる。
喜んでいただいて本当に良かった。
主人「あんなに、喜んでもらえると、うれしかの~。一生懸命作って良かった。」と
嬉しそうだ。作り手にとってこの瞬間が何より至福の時だ。
それがまた、次の制作の大きな励みとなり力を頂く。
本当に有難い一日だった。
そして、今夜は素焼き。あすお昼くらいまで焚きます。
主人は徹夜です。